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niwa さんの日記

 
2015
1月 30
(金)
23:47
ICFの”痛み”と介護保険法における「痛み」(1)
本文
2011(平成23)年1月29日

ICFの”痛み”と介護保険法における「痛み」(1)

 寒中お見舞い申し上げます。
 新たな年をどのような健康な生活の確保で、健やかにご活躍されていますか。
2000年に始まった介護保険制度は、強制加入と申請主義の社会保険です。加入できる条件は、1)65歳以上の「第1号被保険者」2)40歳から64歳までの医療保険に加入している「第2号被保険者」で、運営主体(=保険者)は市町村です。
 第2号被保険者が介護保険の介護サービスを利用できるのは、加齢に伴う特定疾病としての15疾病の場合(2000~2005年度)で、特定疾病に該当するか否かは、主治医意見書の記載内容に基づき、市町村等に置かれる介護認定審査会が確認を行うことになっています。そして特定疾病は、2005年の一部改正で2006年度(4月1日)から「痛み」が16)番目ではなく、1)のトップに加わり、他の疾病が繰り下って16疾病となりました。
 これはICFの付録9の【理想的および最低限の健康情報システムまたは調査のために提案されたICFデータ要件】の『最低限リストの用語』となる6項目の1つである「第2章:感覚機能と痛み」の中の(痛み=pain:b280-b289)であり、年次報告に「痛み」が無いための改正と思われます。そして、介護保険制度に加わった「痛み」の条件を下図でお読みになって如何でしょうか。

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1.がん【がん末期】              8.脊髄小脳変性症
(医師が一般に認められている医学的知見に   9.脊柱管狭窄症
基づき回復の見込みがない状態に至ったと    10.早老症 
判断したものに限ります。注1)          11. 多系統萎縮症
2.関節リウマチ                12.糖尿病性神経障害、
3.筋萎縮性側索硬化症               糖尿病性腎症及び
4.後縦靱帯骨化症                 糖尿病性網膜症
5.骨折を伴う骨粗鬆症             13.脳血管疾患
6.初老期における認知症            14.閉塞性動脈硬化症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核      15.慢性閉塞性肺疾患
  変性症及びパーキンソン病          16.両側の膝関節又は股関節
【パーキンソン病関連疾患】           に著しい変形を伴う
変形性関節症
注1:【介護保険における特定疾病診断】(厚生労働省)によりますと:以下のいずれかの方法により悪性新生物であると診断され、かつ、治療を目的とした治療に反応せず、進行性かつ治療困難な状態(注)にあるもの。①組織診断または細胞診により悪性新生物であることが証明されているもの。②組織診断または細胞診により悪性新生物であることが証明されていない場合は、臨床的に腫瘍性病変があり、かつ、一定の時間的感覚を置いた同一の検査(画像診断など)等で進行性を示すもの。
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(注)ここでいう治療困難な状態とは、概ね6月程度で死が訪れると判断される場合を指す。なお、現に抗がん剤等による治療が行われている場合であっても、症状緩和等、直接治療を目的としていない治療の場合は治療困難な状態にあるものとする。

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25年前、末期がんの骨盤転移で「痛み」の激しい妻を、夫は「妻には苦労をかけたから、勤務を休んで付き添う」と個室で24時間付ききり。痛みの激しくなる妻の腰を擦り、温湿布を替えるなど、命を懸けて看とられるご様子は逞しくて見習い学ぶ看とりが沢山あり、妻も痛みの少ない時は満足の微笑みと労いの言葉の掛け合いで助け合って共生き。ご臨終に、妻は微笑みの穏やかなお顔でゆっくりと「ありがとう」の言葉に、夫は「俺こそ、ありがとう。あの世でも一緒だ。待ってろよ」と手を握り合って、爽やかな見送りをされた50代のご夫婦を、今でも鮮やかに覚えています。
がん末期の痛みは、1986年に「がんの痛みからの解放―第1版―」として「WHO式がん性疼痛治療法」が発表され、1996年に日本で「がんの痛みからの解放―WHO方式がん疼痛治療法―」(竹田文和訳:金原出版)が出版され、継続されています。
WHO式疼痛治療法は、痛みの診断・治療戦略・鎮痛薬の使用法・鎮痛薬の選択から構成されており、痛み治療の5原則は下記の通りです。

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                 【痛み治療の5原則】
           By mouth:経口的に
           By the clock:時刻を決めて規則正しく投与
           By the ladder(who ladder):除痛ラダ―に沿って効力の順に
           For the individual:個別的な量で
           Attention to detail:そのうえで、細かい配慮を

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 今日の日本人は、3人に1人ががんで死亡して、がんは死因第1位です。
 しかし日本の現状は、専門家中心の事後医療です。生後からプライマリーケア中心の健康な生活を育む事を軽視し、専門家に依存して診断名を確定してもらい、濃厚医療をやればやるほど医療経営が安定する医療にどっぷりつかっている現状で、「痛み治療の5原則」の徹底や自宅で終末医療や看とりが可能でしょうか。
 例えば、“寿命”が主治医の診断治療だけで判断できるものでしょうか。疑問に思います。
 身近な知人たちのなかに、「末期」と医師に宣告されて、藁をも掴むようにして民間療法に頼り、生活習慣を変えてピンピンしている方が多く見えます。なかには、元気になってから国立病院の主治医に診てもらいに行きましたら、腫瘍マーカーが下がっているので不思議がられ、事情を説明したところ、「それは止めて下さい。データが狂いますから」と云われて唖然。それ以来、未受診でお元気です。
 すべての医師よ!「医師法第一条 医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」の使命を今一度、確認していただき、事後医療システムで、がん・精神病・糖尿病・肥満等で病む人の増加する日本人と高騰する医療費で国民生活を圧迫する病院医療中心システムから、国民の健康な生活の確保できるシステムへの全面的な転換に全力を挙げて実行してくださいますようお願いいたします。そして、先輩の医師たちは、外科医の志望者が少ないのも「ナイフや包丁で、リンゴの皮を剝けない学生」が多く、生活機能の自立(ICFの分類参照:自律と区別していることも)に障害のある学生に目を向けて、医学部教育の改革にも取り組んで下さいませ。 次回は、ICFのなかの「痛み」の詳細を見ていきます。お楽しみに!


自律(autonomy):躰の構造・機能の問題の有無に関わらず、自己決定に基づいて人生を設計し、修正し、全うすること
生活機能の自立(independence):自律度に関わらず、社会活動や参加の制約や制限を環境との相互作用を考え、
活用して独立した生活ができること
ICF(=国際生活機能分類)は、自律と生活機能の自立を明確に区別しています。
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